芭石鉄道13

　四川の朝は遅い。北京と同じ時間を採用しているためである。本来なら時差が1時間なければならない。二日目、三日目とも蜜蜂岩を６時半の第１列車に乗ったがあたりはまだ完全な闇の中。駅の構内は電灯一つない漆黒の世界である。
　車掌の懐中電灯に誘導されて客車に乗り込む。車内に照明はなく車掌が明かりを消すとまた闇の世界。機関車のブラストと汽笛と車輪の音が伝わってくるだけ、幻想的で不思議な気分になる。

　朝は濃霧でも時間がたつにつれ薄くなってくるがそれでも時々濃霧が襲う。正午過ぎの貨物列車もミルク色の海からいきなり姿を現わした。

　三日目は仙人脚駅で下車、真っ暗な駅で第２列車が下って来るのを待つ。８時少し前になってようやく明るくなったがまだまだ手持ちで撮れる状態ではない。

デジカメの威力で明るく写っているが、火室の火がキャブの窓を照らすほど暗い

　7時10分に芭溝駅で下車したがまだ真っ暗。第２列車として戻って来た７時半でもこの状態。