一番列車が山を下る

 午前9時15分、ニュー・ジャルパイグリ行きの2D下山列車がダージリン駅を発車する。8時間の旅の始まりだが、車内はほぼ満席だ。この日、8時発のグーム行き観光列車は運転されなかった。

 駅を出外れると線路沿いの丘の上に古い洋館が点在する。日本なら異人館として文化財指定間違いない。どれもカンチェンジュンガを臨むイギリス人の旧別荘だ。

 駅から5分ほど歩いてレトロな建物の前で列車を待構えることにした。Hotel Snow View という古いホテルらしい。ひと気がないのは冬季休業中なのか廃業したのか。

 この道はダージリンへ入る唯一の道路だから頻繁に車が通る。ハラハラしながら待つうち、何かの配達トラックが目の前で線路際に駐車した。撮影位置を少し移動する羽目になって汚いビルが写りこんでしまった。まあ、いつもこんな具合だった。