基隆炭鉱鉄道の山線に並行して手押し人車軌道が走っていた。鉄路局五堵駅から友納を経てさらに奥まで伸びていた。もとは鉱山用の軌道だと思うが走っているのは人間を運ぶ人車ばかり、それもかなり頻繁に動いていた。
　ところどころに単線区間もあるが、おおかた複線になっていた。ポイントも転轍機のない簡易なもので、後から押しているのは圧倒的におばちゃんが多かった。

山線とつかず離れず並行する人車軌道。

　どういうわけか機関庫の横まで手押しトロッコが入り込んできた。よく見ると人車には傘を手にした乗客まで乗っているではないか。一体どこまで行こうというのか。それとも基隆炭鉱のえらいさんだろうか。

鉄道線と人車軌道の並行区間。

山線の総站手前で鉄道線の下を通って吊橋へ向かう軌道。

総站の機関庫の横まで入り込んできた人車。昭和初期の日本を思わせる車夫のミノカサ姿がすさまじい。

友納付近で鉄道線とアンダークロスする人車軌道。