頚城後日談

　2006年7月、私は仲間と飯室駅の跡を探していた。立派な待合室を持つバス停はすぐに見つかったが、駅がどのあたりだったのかまるで分らない。
　通りかかった老人に尋ねると親切に教えてくれた。その上でとんでもないことを言い出した「ワシは昔ここの機関士だった」と。？？？「ひょっとしてあなたは星野さん？」今度は向こうがびっくり。
　偶然も偶然、いきなり37年ぶりに懐かしい人に出会ってしまった。聞けばバス停のまん前が星野さんのお宅。さっそくお邪魔してお茶をいただきながら昔談義。私のことも覚えておられた。驚いたことにＲＭＬもお持ちだった。ということでその本を間にして早速記念撮影。

　2006年9月のある日、私は明治村駅跡にいた。ＲＭライブラリーの表紙の写真の場所である。写真の右下に小さく目印の名山「米山」が見える。
　残念ながら桜の木はない…と思ったらあった。頚城自動車のＮ常務に案内していただいたのは道路から一歩入った民家の庭先。物置小屋の前に古木の根元から若い枝を伸ばした小さな桜の木。
　これが枯死を免れたあの桜だった。あの桜の木が形を変えて生きていた。遠景との間に小屋があって昔と同じ写真は撮れないのがちょっぴり残念だが嬉しかった。