週末でも一日２往復しかないので走行写真を撮るにはレンタカーを利用せざるを得ない。私たちはコブレンツで借り出した。
　予断になるが、日本で予約したハーツレンタカーのオフイスはコブレンツの思いっきり外れにあった。市街地からタクシーでアウトバーンを飛ばして20分もかかった。

　ブロールをスタートした列車はしばらく森の中を進む。すぐ横には並行道路があるが、木がうっそうと茂っており深い森の中のよう。

　ほぼ中間地点でアウトバーンの下をくぐる。谷間の平坦な道を走ってきたが、いよいよ山道に差し掛かる。

　森を抜け石造りのメガネ橋（表紙の写真）を渡ると間もなく最初の駅である（停留所はいくつかある）。ブルクブロール(Burgbrohl)というから近くに古城でもあるのだろうか。駅のそばにはペプシコーラの大きな工場があった。本格的な、というより絵になる駅舎はここだけだ。

　オーバーツィッセン(Oberzissen)の駅を出た列車は街道をはずれ、登山列車の様相を呈してくる。これから終点まで急勾配の上りが連続する。
　並行道路がなくなるので車の追いかけは不可能、というより先回りするためのルート探しで大わらわである。
　ようやく見つけたルートの途中で、急勾配に差しかかる列車が見えた。こうして見下ろしても凄い上りだ。

　終点エンゲルンに近くなると周りは気分のよい牧草地帯である。間もなく大きく左に曲がってエンゲルンに到着する。
　全区間17.5ｋｍを1時間半かけて登ってきた。途中特に長時間停車などしていないのにこれだけかかる。とてつもなくのろい列車につけたバルカン急行というネーミングがなんとも愉快だ。

　エンゲルンに到着した。付近に人家はなく、エンゲルンの小さな集落もここから500ｍほど離れている。