ギリシャ旅行

　航空券は旅行社で手配してもらった。当時はまだネットで直接予約する時代ではなく、旅行社へ出向いて安い便を探してもらい、バンコック経由のタイ航空にした。往復で178,000円だった。
　関空発19時25分、5時間半のフライトでバンコック到着が23時過ぎ。アテネ行の乗継便まで1時間少々しかなかったがトランジットロビー手前のセキュリティもその先の出発ロビーも大勢の人であふれていた。
　どうやら一日のうちで一番混雑する乗り継ぎ時間帯のようで、1時間ほどの間に7つのゲートから14便が出発している。おまけに出発ゲートがいつの間にか12番から5番に変更になっていて、もう少しで見過ごすところだった。
　人混みをかき分けなんとかゲートにたどり着いたらまだフランクフルト行きの前便が改札中だった。それでも予定よりほどの30分遅れでバンコックを離陸、10時間飛んで翌朝午前7時にアテネ空港に着陸した。

　これを書き始めている今は2020年6月。昔の写真を収めたアルバムが山ほど溜まっているが、処分する前に忘れがたい海外旅行だけでもまとめておこうと手を付けた。
　その手始めが20年前のこのギリシャ旅行である。ペロポネソス半島の鉄道は狭軌のメーターゲージで、軽便鉄道も一か所あるらしい。それならと鉄道趣味仲間の友人と2人で四国より少し大きい程度の半島をレンタカーで巡ることにした。
　残してある旅行メモと地図や写真を眺めながら書き起こしているが、20年も経つと思い出せないことも多い。その辺はテキトーにお茶を濁すことに。
　なお当時のギリシャはまだＥＵに加盟しておらず通貨はドラクマ(DRS)でレートは1DRSが約0.35円だった。

　ペロポネソス半島の北海岸に面したディアコフトからナローゲージ（750ミリ）の登山鉄道が標高800メートルの高原リゾートであるカラブリタまで通じている。距離は22.3キロ、所要約１時間。
　旅の一番のお目当てはこの小さな登山鉄道を見ることだったが、何が走っているのか現地で実際に目にするまでまったく分からなかった。
　現在ならネットで簡単に調べることもできるが、当時はトーマスクック時刻表に載っている情報がすべてだった。