加悦

　10月のこの日、加悦SL広場で保存会の人たちが車両メンテナンスとそのための車両移動をするという情報を得て久しぶりに出かけてみた。

　もう50年以上も昔のことだが、春休みの家族旅行の途中で天橋立から城崎温泉へ向かう途中、車窓から見た加悦鉄道の列車が今も忘れられない。丹後山田駅を発車した宮津線の列車と並行しながら遠ざかっていく小さなディーゼル機関車と３両のマッチ箱客車。
　この２年後に北陸旅行の途中に見た頚城鉄道の情景とともに、現在まで続く私の鉄道趣味の原点になった。その後も何度か足を運び機関庫の宿直室で泊めてもらったのも懐かしい思い出である。当時のフィルムはビネガーシンドロームにやられて使い物にならなくなってしまった。

こちらがホーム側、ホームがないので単なる裏側。

左の道路の突き当たりに駅舎のこの部分があった。

　旧加悦駅の構内跡地には役場の庁舎（現在は与謝野市加悦支所）が建っている。
　1926年（大正15年）に建てられた駅舎はその前ににあったが取り壊しを免れ、50メートルほど動かして180度向きを変えて復元された。
　丹後ちりめん産地の往時の隆盛を象徴する建造物として、町の文化財指定を受け保存された。
　建物は観光案内所と加悦鉄道保存会の事務所として使われている。

信号柱があるのでホーム側のように見えるが玄関側。

上と同じ角度から見た昔のホーム側、84年4月。

現役最晩年の頃の加悦駅。1984年4月。

この正面にむかし加悦駅の駅舎があった。

もともとの場所を役場の庁舎に譲り移築された旧加悦駅。

同じように見えるがSL広場の事務棟は全くの新築である。