成都からワゴン車で３時間半、朝８時半過ぎに石渓駅に到着したものの一面の濃霧で視界は10ｍがやっと。駅は自動車が入れる広場から階段を50段ほども上がった台地上にある。
　乗車予定の２番列車は９時30分発だから1時間ほどある、この霧では構内ウオッチすらできない。それでもホームには客車が横付けされており、乗客がぼつぼつ集まり始めている。客車のドアにはしっかりと南京錠がかかったままだった。

駅前ならぬ駅下広場に到着した私たちのワゴン車

　ホームには乗客相手の売店が並んでいて簡単な食事も出してくれる。数年前まではあばら家だったそうだが立派なコンクリート製に立て替えられている。横の大きな待合室ともども観光客を意識してのリニューアルだろう。
　濃霧の中を左手の機関庫のほうから凸電がヌ〜ッと音もなく顔を出した。石炭車をひく長い長い貨物列車だった。なんと40両以上も引いて超スロー走行で、せいぜい時速にして2〜3ｋｍ。濃霧でカメラのフォーカスが定まらなくて参った。

広い待合室の壁一面に掲げられた沿線案内図。芭石鉄道の観光客重視の姿勢のあらわれである。そのわりに乗務員が無愛想だが、まだ慣れていないと考えよう。

観光鉄道への脱皮をはかって新設されたと思しき立派な待合室

　待合室にあった2007年3月現在の時刻表。一日４往復の設定だがこの他に貨物と臨時旅客列車があるので一日の運転回数は5〜6往復である。

階段を上がってくる篭の中は子豚、荷物室のお客さま

目の前に突然石炭列車が現れた。超微速で本当に音もなくやってきた。