高校生の頃ベルギーの鉄道ファンと文通していた。そのベルギー人が時々送ってくれる写真の中にこのディーゼルトラムがあった。もう50年近くも前のことである。魅力はあっても実物を見に行くことなど叶うはずもない時代で、いつか模型にしてみたいと思うのがせいぜいだった。
　４年前にドイツのリューゲン島へ旅行した際、ロシュトックの駅売店で、この忘れられない気動車の写真が載っている本を偶然見つけた。それがこのミッテル・プッファー(Mittel-puffer)誌である。
　トラムは今もベルギーの南部で動いているらしい。記事に添えられた美しい図面もあらためて模型ごころをくすぐる。ぜひ行ってみたい、なるべく早く。という次第で同行者には申し訳なかったが、今回の旅の目的地に入れてしまった。
　この雑誌が紹介しているのはアン・シュール・レス(Han-sur-lesse)のトラムだけだが、ネットをあたっていたら、もう一つあることが分かった。それがエレーゼ(Erezee)にあるＴＴＡ(Tramway Touristique de I'Aisne)という保存鉄道だった。しかもアンのすぐ近くではないか。一も二もなく翌日はＴＴＡへ行くことにした。

　ドイツで発行されたこの雑誌はヨーロッパナローの実物と模型の雑誌である。1993年の創刊で年３〜４回発行されていた。過去形で書くのは残念ながら2006年の48号で休刊になったらしいからである。ドイツ語が読めないので想像するしかない。
　Ａ４版オールカラー（毎号約50頁）の美しい雑誌で写真、図面、広告を眺めているだけでドイツ語門外漢でも楽しめる本である。バックナンバーは今も販売しているので入手可能である。
Mittel-puffer公式サイト

今も忘れられない、50年近く前にベルギーから届いた写真というのがこれ。

ミッテルプッファー誌48号掲載の図面を拝借した。版元の了解もいまさら取りようがないし、十分宣伝してあげたのだから許していただこう。