ＴＴＡ

　エレーゼに集まってきた乗客がどこから湧いてきたのか不思議だったが、このキャンプ場で暇をもてあましている人たちが乗りに来たのに違いない。

　最初の駅というか停留所(Blier)に隣接して車庫があった。ネットフェンスでがちがちに固められた構内に、どこから集めてきたのか廃車体がぎっしり詰め込まれている。
　スチームトラムや密閉型の客車などもあるはずだが、戸の閉まった車庫内にあるのだろう。まったく人の気配がないのでどうしようもなく、隙間から覗くことすらできない。
　車庫の向こう側に何ヘクタールもある大きなオートキャンプ場があった。真ん中に小さな池があるだけで、お世辞にも風光明媚とはいい難い普通の森の中でかくも大勢の人がキャンプをしているのはちょっと理解しがたい。

　列車の運行は平日なのでエレーゼ発14時、15時、16時の３回。２本は途中のフォルジュ(Forge)という駅までで片道22分、それがすぐ折り返してくる。16時発だけが終点のドシャン(と読んでいいのかDochamps) 行きで片道40分かかる。
　一度くらい乗ってみたかったが追いかけに徹することにする。線路に並行する街道はあるが200ｍくらい離れた森の中を走るので、道路から線路状況はまったく分からない。
　沿道にほとんど人家はなく、途中３ヶ所ある中間駅付近に10軒程度づつ民家があるばかりだ。これ以外には線路を横切る道すらなかった。
　

　フォルジュへ先回りして待っていると。一番列車がやってきた。回りには売店の一軒もなく、数分間停車するだけで14 時30分に引き返して行く。本当に何もない山の中でトイレすらない。