金門島２日目の朝、朝食前にホテルの外を少し歩いてみることにした。周囲は一面の畑で遠くの方に民家がポツポツ見えるだけだった。畑の作物は高粱(コウリャン)で高粱酒の原料である。
　高粱酒は島の特産らしく食事時に出された。58度もある蒸留酒で白酒(パイチュウ)と同じもの。親指の先ほどの小さなグラスで飲む。少し口に含むと熱い液体が胃に下りていくのを感じる。

　この日最初に案内されたのはホテルから２キロほどしか離れていない村の集落。何の変哲もない村かと思ったら瓊林(ケイリン)千年聚落という古集落で金門島有数の観光スポットだった。
　集落全体に閩南様式というのか独特の民家が甍を連ねていて祖廟とか宗廟といわれる寺院も多い。なるほどと思ったが実はそれだけではなく、村役場の地下に下りるとそこには信じられない光景が広がっていた。

集落の地下トンネルと出入口(○印)

この石像の背後にも出入口がある

これも地下出入口の一つ

民防坑道への下り口

左のビルの入口を入ったところに地下へ下りる階段がある

のどかな村には似つかわしくない立看板

左隅に立つコンクリートの小屋は地下道への入口

　集落内の道端にところどころコンクリート製の小さな小屋が建っている。右写真。

蔡氏家廟の内部

これはかなりのお屋敷のよう

閩南様式と思われる独特の屋根がどこまでも広がる

集落の中央に池に面した広場がある、ごく普通の田舎の村かと思ったが

一見のどかに見える村が

　この地下坑道は過去の戦跡と言うより、現在も準戦時下であるとの緊張感を市民に自覚させるために、存続かつ維持管理しているとしか考えられない。

　村の中心部、メインストリートに面して里辯公処(役場？)のビルがあり戦闘坑道と表示してある。入ってすぐの所に地下入口があり民防坑道に続いている。ビルの真下が指揮所で集落全体にトンネルが張りめぐらされ全長1,355メートル、12ヵ所の出入口がある。村外の銃眼トーチカにも続いているという。
　これは村落戦闘防御施設として1976年に完成させたもので、ここが金門島で最大の民防坑道だとか。

蔡氏家廟、集落内にこんな祖廟が８ヵ所あるという